福岡市東図書館

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イベント詳細

イベント

司書のつぶやきーおすすめの本ー

2021年04月06日

3月20日に開催したイベント『読むことを哲学する時間 〈言葉を大切にする〉って何をすること?』という講演会で、講師の古田徹也先生(東京大学大学院人文社会系研究科准教授)が紹介された本がとても良かったので紹介させていただきます。

『雨のことば辞典』(倉嶋厚/監修 講談社学術文庫 2000年)

(イベント時配布した小冊子の中で古田先生がこの本について書かれた文章より)

表現の多様性、言葉のきめ細かさというものを、具体的に体験できる辞典。

雨を表す言葉や雨にまつわる言葉が数多く収められており、たとえば梅雨に関するものだけでも、この本にはニ十個以上の言葉が紹介されている。

ぱらぱらとめくっていくうちに、雨という、しばしば陰鬱でつまらないものとして受け止められがちな現象が、鮮やかな色合いを帯びたものとして、愛おしくさえ感じられるものとして、立ち上がってくることだろう。

当日配布した小冊子。
とても素敵な仕上がりで好評でした。

この本の最初の言葉は「愛雨」。「あいう」と読み、意味はそのまま「雨を好むこと」。50音の最初にいつも唱えていた音にこんな意味があるのだと知った時、とても豊かな気持ちが湧きあがりました。新しい言葉を知ることは、今まで気が付かなかった自然や、身の回りのことや、自分でも気が付かなかった心情を鮮やかに浮かび上がらせます。これが本を読み、言葉や語彙、作者の感情に触れる意味なのだと改めて感じました。